木造3階建て共同住宅が注目される理由 ~建築費高騰・人手不足・金利上昇時代の土地活用~★土地活用通信★
土地活用通信

近年、土地活用の選択肢として「木造3階建て共同住宅(木三共)」が注目されています。
木造2階建てアパートとRC造・鉄骨造マンションの中間に位置する構造で、限られた敷地でもより多くの戸数を確保できる点が大きな魅力です。
一方で、建築資材の高騰、職人不足、金利上昇という逆風も強まっています。「人気だから建てればよい」のではなく、コスト・収益・資金計画を総合的に見極めることが重要になっています。
◉なぜ木造3階建てが選ばれるのか
木造3階建て共同住宅は、1999年の建築基準法改正で、準耐火性能や避難計画などの要件を満たせば建設可能となった物件です。柱・梁に1時間の準耐火性能を持たせ、避難上有効なバルコニーや避難通路を確保し、火災安全上の性能を確保します。
最大の特徴は、同じ敷地でも2階建てアパートより戸数を増やせることです。戸数が増えれば賃料収入を伸ばしやすく、土地の有効活用度が高まります。
都市部や駅近く、大学・病院・商業施設の近くなど、単身・二人世帯の需要が見込めるエリアでは特に収益性を発揮しやすい構造です。
さらにRC造や重量鉄骨造と比べ構造・工期の面でコスト優位性を期待できるケースがあり、建築費高騰で鉄骨造の採算性が低下するなか、木造3階建てへの構造転換が進むとする市場分析もあります。
木造3階建て共同住宅の準耐火要件・火災安全上の構成:国土交通省資料 hkd.mlit.go
木三共の市場性・戸数増による収益性・構造転換の動向:船井総合研究所 funaisoken.co
■建築費高騰は土地活用の前提条件に

いま、土地活用で避けて通れないのが建築費の上昇です。
建設物価調査会の建設資材物価指数(2015年基準)は2025年時点で143を超え、10年間で4割以上上昇しました。
木材や鉄骨、設備機器など海外依存度の高い資材も多く、円安の影響も受けて上昇が続いています。これに人手不足による労務費・物流コストの上昇が重なり、木造住宅の建築コストは2026年3月時点で2015年比でおよそ50%以上高騰しているとされます。数年前の見積もりをそのまま当てはめることはできません。
現時点の概算工事費と着工時の価格変動リスク、基礎・外構・駐車場などの付帯工事費、準耐火仕様に伴う構造・設備コスト、賃料設定や稼働率を含めた長期収支まで必ず確認しましょう。
建設資材物価指数・木造住宅建築コスト:HOME’S homes.co
■職人不足は「工期」と「品質」に直結

建設業界では技能労働者の不足が長期的な課題です。
国土交通省は職種別・地域別の過不足率を「建設労働需給調査」として毎月公表しています。職人不足は人件費の上昇にとどまらず、大工・型枠・設備などの工程が遅れれば竣工が延び、仮設費用や金利負担が増え、家賃収入の開始も遅れます。
土地オーナーは「一番安い見積もり」だけでなく、木造3階建ての施工実績、準耐火建築物としての申請・検査対応力、地元の職人網の確保状況、工程管理の体制といった視点で施工会社を選びましょう。
建設労働需給調査(職種別・地域別の過不足率を毎月公表):国土交通省 mlit.go
■金利上昇は「返済後収支」を左右する

金利環境も大きく変わっています。
2026年10月には大手銀行を中心に変動金利の基準が引き上げられ、大手5行の基準金利が年3.375%となったと報じられました。
変動金利は2024年5月から2026年5月の2年間で約0.65%上昇し、10年固定型は約1.45%、フラット35は約0.88%の上昇です。
日銀の利上げ方針次第で、さらに上昇する可能性も指摘されています。土地活用では表面利回りだけでなく、管理費・固定資産税・保険料・修繕積立金を差し引いた実質収入と借入返済後の収支の確認が不可欠です。
特に変動金利では「金利が1%、2%上昇しても事業が継続できるか」を事前に試算しておきましょう。
大手5行の変動金利基準 年3.375%への引き上げ:FNN報道 fnn
変動金利・10年固定・フラット35(2024年5月〜2026年5月):HOME’S homes.co
■木造3階建てに向く土地・エリア

すべての土地に向くわけではありません。駅から徒歩10分程度以内やバス便・生活利便施設が近い土地、単身者・学生・二人入居の需要が見込めるエリア、前面道路・隣地関係・日影規制などの条件が整理できる土地が好適です。
2階建てでは戸数が足りず、RC造では建築費が重くなる土地にも向いています。
一方、駐車場需要が強い郊外や賃料水準の低いエリアでは十分な賃料を確保しにくく、斜面地・狭小地・接道条件が厳しい土地は工事費や設計制約が大きくなるため注意が必要です。
●これからの土地活用に求められる視点
木造3階建て共同住宅は、土地を有効に使う有力な選択肢です。
しかし、建築費高騰・資材調達リスク・職人不足・金利上昇が重なる現在では、「戸数を増やす」こと以上に「長期にわたり黒字を維持できる計画か」が問われます。
土地オーナーにとって大切なのは、
第一に立地・競合・想定入居者層・賃料水準など需要の裏付けを確認すること。
第二に、現行相場に基づき金利上昇や空室リスクまで織り込んだ資金計画の精度を高めること。
第三に、設計・申請・施工・アフターフォローまで確認できる施工会社の実績と体制を見極めることです。
人気の構造だからこそ、計画段階での精査が成果を左右します。
◆◇◆ 資産運用部 小熊 ◆◇◆
木造3階建て賃貸住宅 商品紹介

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